妊婦に嬉しいスイカの栄養:つわり・妊娠高血圧対策から不妊治療まで
妊娠中はホルモンバランスの変化により体に大きな負担がかかります。そのため体調を崩しやすくなり、食事による適切な栄養摂取がますます重要になります。
妊娠中の食事はお母さん自身の健康だけでなく、お腹の赤ちゃんの健やかな成長にも大きく関わります。
ユニセフは、「”The First 1000 Days(最初の1000日)”の概念では、受胎から生後2歳までの1000日間に、適切な栄養を摂取することが子供の健康的な発育につながる」とされています。
[1]より引用

赤ちゃんの健康のためにこのはじめの期間が大切だということは、多くの方がご存じでしょう。
しかし、妊娠初期にはつわりで食事が思うように取れないことが多く、妊娠中期から後期にかけては食欲が増し、体重管理に悩むケースも少なくありません。
そんなときに役立つのが「スイカ」です。スイカは栄養価が高く、それでいて低カロリーな食材であり、妊娠中のさまざまな体調不良をサポートする働きがあります。
さらに、近年の研究では、スイカに含まれる栄養素が不妊治療にも良い影響を与える可能性があることがわかってきました。
本記事では、スイカが妊婦さんにどのようなメリットをもたらすのか、「つわりの緩和」「妊娠高血圧予防」「不妊治療への効果」などのポイントについて詳しく解説します。
妊娠中に摂りたい栄養素
妊娠中は、エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、バランスの取れた栄養が必要です。
WHOのガイドラインでは、「妊娠中に緑黄色野菜、果物、全粒穀物、魚、ナッツなど、多様な食品をバランスよく取り入れることを推奨する」としています。
[2]より引用
しかし、日本人女性は特にビタミンやミネラルが不足しがちであり、野菜の摂取量が少ないことが課題となっています。
厚生労働省によると、「一日に350g程度の野菜を摂取することが推奨されていますが、多くの人がこの基準を満たしていないのが現状」です。
[3]より引用
よって、意識的に緑黄色野菜、果物、全粒穀物、魚、ナッツなどをバランスよく摂取することが重要です。
また食事の「質」だけでなく「量」にも注意を払う必要があります。妊娠中は「赤ちゃんの分まで栄養を取らなきゃ」と考え、つい食べ過ぎてしまうこともありますが、過度な体重増加は母体や胎児に負担をかける可能性があります。
そのため、栄養バランスの取れた食事を心がけることが重要です。特にスイカは、水分補給や栄養補給に役立ち、妊娠中の健康維持をサポートしてくれる優れた食品の一つと言えるでしょう。

スイカの栄養価
スイカの果肉100gあたりでは栄養素は以下のようになります。
水分:91.45g
エネルギー:30kcal
たんばく質:0.61g
脂質:0.15g
炭水化物:7.55g
ビタミンA:569IU
ビタミンC:8.1mg
カルシウム:7mg
鉄:0.24mg
カリウム:112mg
[4]より引用
スイカは90%以上が水分で構成されており、非常に低カロリーな食材です。そのため、体重管理の面でも役立ちます。また、ビタミンA・ビタミンC・カリウムなど、日本人が不足しがちな栄養素を豊富に含んでいます。
さらに、妊娠中に必要な栄養素を手軽に補給できる優れた食材です。加えて、スイカにはリコピン、シトルリン、β-カロテンといった抗酸化物質も豊富に含まれており、体を酸化ストレスから守る働きがあります。
スイカが妊婦に与える嬉しい効果

1. つわり対策に効果的

妊娠初期のつわりは、多くの妊婦さんが直面する問題で、吐き気や食欲不振により食事を取ることが難しくなります。そんな時にスイカがおすすめです。スイカはさっぱりとした甘みと高い水分含有量で、無理なく栄養を補給できる理想的な食材です。
つわり時の食べ物と匂い・味の影響
2020年に「Scientific Reports」に掲載された研究によると、
- 匂いに関して:魚やニンニク、ごま油などは嘔吐反射を誘発することが多いが、フルーツのような爽やかな香りは引き起こしにくい
- 味に関して:苦味の強い食べ物は吐き気を引き起こしやすい一方で、甘みのある食べ物は比較的吐き気を誘発しにくい
[5]より引用
このことから、爽やかな香り と 自然な甘み を持つスイカは、吐き気を引き起こすリスクが低い食材として推奨されます。
妊娠中に食べやすい食品の比較研究
妊娠中にどの食品が食べやすいかを比較した研究もあります。
2021年に「BMJ open」に掲載された研究によると、
妊婦におけるりんご、スイカ、クラッカー、白パンの食べやすさを比較した結果、リンゴに次いでスイカが吐き気を起こしにくい食べ物である
[6]より引用
日本では「つわり中は白米が食べられなくなる」とよく言われますが、同じ炭水化物である クラッカーや白パンも食べにくい という結果には納得できます。
このように、スイカは 科学的にもつわり時の吐き気を引き起こしにくい食品 であることが確認されています。
2. 妊娠高血圧予防にも効果的

皆さんは 妊娠中に起こる病気 についてご存じですか?
妊娠中期から後期にかけて ホルモンバランスの変化 により、妊娠高血圧症候群 や 妊娠糖尿病 の発症リスクが高まることが知られています。これらの疾患は 早産や胎児の発育障害 を引き起こす可能性があるため、血圧や血糖の管理は非常に重要です。
妊娠高血圧や妊娠糖尿病のリスク要因
妊娠高血圧や妊娠糖尿病のリスクを高める要因として、以下のものが挙げられます。
妊娠高血圧や妊娠糖尿病のリスクを高める要因 として、以下のものが挙げられます。
- 肥満
- 高年齢での妊娠
- 多胎妊娠(双子以上の妊娠)
- 酸化ストレスや炎症
- 血管内皮機能障害(血管の老化)
特に 肥満は炎症と深く関係している ため、妊娠中の健康管理において 重要なリスク要因 となる。
[7]より引用
年齢や多胎妊娠は変えられませんが、他の要因は改善できるため健康的な日常生活意識するのがおすすめです。
スイカが血圧管理に役立つ理由
スイカには、血圧を調整するカリウム が豊富に含まれており、体内のナトリウムバランスを整えて血圧を安定させる 効果があります。
また、スイカに含まれる リコピン は 強力な抗酸化作用 を持ち、酸化ストレスを抑え、炎症を軽減する働きがあります。さらに、シトルリン は 血管の柔軟性を高める ことで、血管の健康維持にも寄与します。
スイカ摂取による血圧低下の研究
2019年にNutrientsに掲載された研究によると、
肥満の参加者に毎日スイカを摂取させた結果、収縮期血圧が低下した
[8]より引用
このように、いくつかの研究でスイカやその成分が血圧低下に影響を与えたことが報告されています。
妊娠中は 激しい運動や過度なダイエット は推奨されませんが、自然由来の食べものを取り入れる ことで、無理なく健康管理をすることができます。
このように、スイカは妊娠中に注意すべき疾患の予防に効果が期待できる食材です。
3.体重管理にも効果的

スイカは 低カロリーでありながら満腹感を得やすい 食材です。
妊娠中は 体重管理が難しく、特に 妊娠後期には体重が急激に増加しやすい 傾向があります。
スイカは 高い水分含有量 により 自然な満腹感を持続 させるため、間食としても最適です。
スイカ摂取と体重減少の研究
2019年にNutrientsに掲載された研究によると、
- 肥満の参加者に4週間毎日スイカを摂取してもらった結果、体重が減少した
- スイカを食べた際の満腹感は、同じカロリー量のクッキーよりも長く続く
[8]より引用
このような研究結果から、スイカは体重管理に役立つ食材 であることが示されています。
無理なく続けられる体重管理に
無理に食事量を減らすダイエットは ストレスの原因 となり、長続きしにくいためおすすめできません。
しかし、スイカは 低カロリーで満足感が得られやすい 食材のため、食べ過ぎを防ぎながら自然に体重管理ができる 健康的な選択肢としておすすめです。
妊娠中に控えたい食材[2,3]
カフェイン
妊娠中の過剰なカフェイン摂取(1日300mg以上)は、流産や低出生体重のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。コーヒーなどの飲み過ぎには気をつけましょう。
生肉や生魚
生ハムや刺身などの生肉や生魚は、特に加熱処理されていない場合、リステリア菌やトキソプラズマなどの感染リスクがあるため、妊娠中は避けるべきです。
アルコール
妊娠中のアルコール摂取は、胎児に重大な影響を与える可能性があるため、完全に避けることが推奨されています。
水銀を多く含む魚
一部の大型の魚介類には水銀が多く含まれており、お腹の赤ちゃんに影響を与える可能性があるため、摂取を控えることが望まれます。
ビタミンAを過剰に含む食品
ビタミンAの過剰摂取は胎児に悪影響を与える可能性があるため、ビタミンAを多量に含むレバーなどの食品の過剰摂取は避けることが推奨されています。
ちなみに、スイカにもビタミンAが含まれていますが、摂取量を気にする必要はありません。
厚生労働省が作成した 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 によると、
妊婦のビタミンAの摂取上限は 2,700 μgRAE/日 とされている。
[9]より引用
これは スイカの果肉を約1.5kg以上 食べなければ超えない量であり、通常はその前に満腹になるため過剰摂取の心配は不要 です。

このように、スイカは妊娠中でも安心して食べられる栄養満点の食品です。
不妊治療にも効果的
スイカは お父さん、お母さんの両方にとって、不妊治療に役立つ可能性のある食品 です。
スイカと男性の性機能の関係
2022年にJBRA Assisted Reproductionに掲載された研究によると、
スイカに含まれるビタミン、フェノール、フラボノイドなどの抗酸化成分は、男性の性機能を向上させる
[10]より引用
スイカと女性の妊娠率向上の関係
スイカ単体の研究ではありませんが、女性に関する研究でも興味深い結果が報告されています。
2023年にJBRA Assisted Reproductionに掲載された研究によると、
女性にビーツ、スイカ、生姜を使ったジュースを毎日摂取させた群では、着床率と妊娠率が有意に増加した
[11]より引用
妊娠前後でのスイカの効果
このように、スイカは 妊娠前の不妊治療においても、妊娠後の健康維持においても効果が期待できる食品 であることがわかります。
スイカの食べ方
スイカはカットしてすぐに食べられる、手軽で健康的な食材です。加工品のように保存料や添加物が含まれていないため、自然な甘さと新鮮な風味を楽しみながら安心して食べることができます。
1日に8分の1カット(約200~300g)を目安に摂取することが推奨されます。
ただし、スイカには体を冷やす効果があるため、特に冷たいスイカを一度に大量に食べるのは避け、ゆっくりと食べることが大切です。体の冷えが気になる人は温かい飲み物を一緒に摂るのもおすすめです。
スイカを適量食べることで美味しく栄養補給しましょう。
まとめ

スイカは妊娠中の病気予防や不妊治療に効果的で、健康をサポートする栄養豊富な食材です。
つわりの緩和、妊娠高血圧や妊娠糖尿病の予防、不妊治療における栄養補助としても優れており、日常的に取り入れることで多くの健康メリットが期待できます。
スイカは90%以上が水分で、ビタミンA、ビタミンC、カリウムなど、特に妊婦が不足しやすい栄養素を手軽に補える点が魅力です。また体を冷やす効果もあり、暑い時期には体温調整をしながらリフレッシュするのに最適です。冷えすぎを防ぐためにも、ゆっくりと食べることを心がけましょう。
ぜひ、スイカを妊娠中の食事に取り入れて、健康管理に役立ててください。
参考文献
[1]UNICEF. The First 1000 Days Health and Nutrition Program. UNICEF. Retrieved October 9, 2024, from
[3]厚生労働省. (2021). 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針: 解説要領. 閲覧日:2024/10/9(PDF)






