スイカ 科目 タイトル

スイカの分類徹底解説:果物?野菜?科目はどこに属するのか?

夏の風物詩といえば、真っ赤でみずみずしいスイカ。暑い日に一口頬張るだけで、爽やかな甘さが全身に広がります。しかし、スイカについてどれくらい知っていますか?

「スイカって果物?それとも野菜?」と疑問に思ったことはありませんか?また、「何科に含まれるんだろう?」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、スイカがどの植物に属するのか、そして果物か野菜かという分類について、様々な観点から詳しく解説します。

スイカの基本情報

スイカは植物学の分類上、ウリ科(Cucurbitaceaeに属しています。このウリ科には、キュウリやカボチャ、メロンなど、私たちの食卓に馴染みのある植物が多く含まれています。ウリ科の植物は一般的につる性であり、スイカもその特徴を持つ植物のひとつです。

さらに、スイカの栽培は非常に古く、紀元前4000年頃のアフリカで始まったとされています。この長い栽培の歴史を経て、スイカは世界中で親しまれる食べ物となりました。その歴史の中で品種改良が進み、今日のように甘くてみずみずしいスイカが誕生しました。

スイカの分類:日本の省庁による分類

では、そんなスイカが「果物」と「野菜」のどちらに含まれるのでしょうか。

結論から言うと、スイカが「果物」に含まれるのか、「野菜」に含まれるのかについて、日本の省庁ごとに分類の基準が異なります。

それぞれの見解を以下にまとめました。

農林水産省の見解:「野菜」とみなしている

農林水産省では、スイカを「果実的野菜」として分類しています[1,2]。この分類は植物の特性や栽培方法、収穫方法に基づいており、以下の理由から「野菜」として位置づけられています。

草本性植物か木本性植物かの違い

農林水産省では、植物が「草本性」か「木本性」かによって分類が大きく異なります。

  • 草本性植物:草からなり、寿命が1年程度と短く、収穫後は枯れてしまう。「野菜」が収穫できる。
  • 木本性植物:木からなり、長い期間にわたり成長を続ける。「果物」が収穫できる。

スイカは一年生草本植物であり、その寿命が1年未満であることから「草本性植物」に分類されます。この特徴が、農林水産省の区分においてスイカが「野菜」とみなされる大きな理由のひとつです。

ちなみに、農林水産省の区分ではイチゴやメロンも「野菜」として扱っています。

農林水産省の分類は、主に生産者の視点に基づいています。生産者にとって、作物の栽培サイクルや管理方法は非常に重要です。スイカを「野菜」と分類することで、他の野菜と同じように一年周期で生産する作物として理解しやすくなります。

総務省の見解:「果物」とみなしている

総務省が実施する家計調査では、スイカを「果物」として取り扱っています[3]

この分類の背景には、消費者がスイカをデザートとして認識していることが考えられます。

スイカはその甘さとみずみずしさから、消費者にとって食後のデザートやおやつの定番として広く親しまれています。

スイカをご飯のおかずとして買ってくる人はなかなかいません。(食べられている方がいらっしゃいましたら、すみません(^^;;)

総務省の家計調査は、食材をどのように消費するかという消費者の視点に基づいて分類を行います。家計にとってスイカは「デザート」や「嗜好品」として扱われているため、総務省はスイカを「果物」とみなしています。

文部科学省の見解:「果物」とみなしている

文部科学省が監修する「日本食品標準成分表」によると、スイカは「果実類」に分類されています[4]。この成分表は、食品に含まれる栄養成分を体系的に整理したもので、食品表示が義務付けられた事業者や、栄養管理を行う個人が活用できるように作成されています。

「日本食品標準成分表」の分類体系には以下のカテゴリがあります:

  • 穀類
  • 豆類
  • 種実類
  • いも及びでん粉類
  • 果実類
  • 野菜類 etc…

「果実類」と「果物」の関係

「果実類」が「果物」と同じ意味で使われているかを確認するために、スイカと同じく「果実類」に分類されている食品を調べると、りんご、みかん、ぶどうなどが含まれています。

これらの食品は一般的に「果物」として認識されており、以下の栄養的特徴を持っています

  • 果糖を多く含み、甘みが強い。
  • ビタミンミネラルが豊富で、日常的な栄養補給に役立つ。

これらの特徴はスイカにも当てはまり、その甘さや水分含有量からも文部科学省の「日本食品標準成分表」では「果物」として分類されています。

 

日本の省庁での見解をまとめると以下のようになります。

日本の省庁ごとにおけるスイカの分類

このように日本国内の省庁においてスイカは「野菜」か「果物」か意見が一致していないのが現状のようです。

スイカの分類:植物学的な分類

スイカが「果物」か「野菜」かという論争に、植物学的な観点から切り込んでみましょう。

一見、学問の世界では白黒ついているように見えますが、実際はそうではありませんでした。

結論から言うと、植物学的にはスイカは「野菜」とも「果物」とも言えるのです。その理由を以下で詳しく説明します。

スイカは「野菜」とも「果物」とも言える

私たちが日常的に口にしている植物は、葉、茎、根、実(果実)など、植物のさまざまな部位に由来します。この中で、スイカは「果実」に分類されることが植物学的に認められています。

果実とは、「種子植物の花の子房が発達・変化したもの。 中に種子を含む。」とされています[5]。この定義には、私たちが一般的に「果物」として親しんでいるスイカやブドウ、さくらんぼといったものだけでなく、エンドウ豆やきゅうり、さらにはナスなどの野菜も「果物」に含まれるのです。

エンドウ豆やきゅうりを果物と呼ぶ人はほとんどいませんが、植物学的に見るとこれらも「果実」に該当します。これらはすべて、植物の「花から発生した実」という観点ではスイカやブドウと同じ構造を持つためです。

実は、「果物」という概念自体が植物学には存在しません。

この点を踏まえると、スイカが「果物」であるか「野菜」であるかは植物学の観点からは明確に分類できず、「どちらでもある」と言えるでしょう。

ちなみに、私たちが日頃口にしている食品は、それぞれ以下のような植物の部位に由来しています。

野菜の食べている部分についての図

まとめ:スイカは観点によって「果物」にも「野菜」にも分類される

ここまでの内容をまとめると、スイカの分類はどの観点から見るかによって変わります。

まず、栽培や生産者の観点では、スイカは「野菜」として扱われることが一般的です。この観点では、スイカが木になる多年生植物ではなく、一年草として栽培される点が重要視されます。生産の現場ではスイカは他のウリ科の野菜(例:きゅうりやかぼちゃ)と同様に扱われるため、生産者の間では「野菜として分類されるのです。

一方、消費者の観点栄養学的な観点からは、スイカはその甘くみずみずしい果肉が特徴であり、「果物」として親しまれています。特に、スイカはデザートとして食卓に並ぶことが多く、その爽やかな甘さやジューシーな食感から、「果物」としてのイメージが非常に強い食材です。また、栄養価も他の「果物」と似ているため、一般の消費者の間ではスイカは「果物として認識されるのが一般的と言えるでしょう。

さらに、植物学的な視点では、スイカは「果実」に分類されます。植物学の定義によれば、「果実」とは種子を含む植物の子房が発達したものであり、スイカはこの条件を満たしています。この植物学的定義では、スイカはもちろん、トマトやきゅうり、さらにはナスも果実に含まれます。ただし、植物学的には「果物」や「野菜」という区分は存在しないため、スイカを「果物」とも「野菜」とも明確には言えない部分があります。

このように、スイカが「果物」「野菜」かを分類する明確な一つの答えは存在しません。スイカは「どの観点で捉えられるか」によって、分類が変わってしまうためです。生産者の観点、消費者の観点、さらには植物学的な観点によって、それぞれ異なる見方が成立するのです。また多様な社会的・文化的な観点によっても変わってきてしまいます。

観点に応じてスイカの分類が異なる

参考文献

[1] 農林水産省. 作況調査(野菜)概要. 農林水産省. 閲覧日: 2024年11月28日. 

[2] 農林水産省. 果実の定義. 農林水産省. 閲覧日: 2024年11月28日. 

[3] 総務省統計局. 家計調査 家計収支項目別ランキング [Excelファイル]. 

[4] 文部科学省. (2020). 日本食品標準成分表2020年版(八訂). 文部科学省.(PDF)

[5] goo辞書. 「果実」. goo国語辞書. 閲覧日: 2024年11月29日.